雨には負ける。
頭痛がひどい。
雷にも負ける。
爆音は嫌い。
山にも負ける。
気圧がつらい。
プール後の耳になる。
月の半分は女性ホルモンにも負ける。
ひどい頭痛と不安感。
更年期にも負ける。
すべての自信を砕く、謎の焦燥感。
私は毎月半分死んでいる。
血圧は下が30しかない。
衝撃すぎて、ロビーで凹む。
そんな私でも誰にも負けないものはある。
母親という名の役割だ。
どんな大きな会社の社長だろうと、どんな戦士だろうと、
母親という名には勝てないだろう。
24時間勤務、無給、残業手当なし、休みなし。
仕事内容は、保育士、看護師、医師、調理師、栄養管理士、経理、経営管理、財務管理、一家の社長、秘書、勉強を教える先生、家政婦。
これが母親の仕事だ。
嘘ではない。
役割の名称を書き出すとこうなる。
まだあるかもしれない。
こんなに働いているのに、無給だ。
そして、命に関わる仕事なので、ミスは許されない。
子どもの命がかかっているんだから。
自分が体調不良であっても、仕事は全うしなければならない。
代わりの要員は、夫という役割の方が入ることがあるが、
母親の仕事について理解が乏しく、教えても覚えず、役に立たない場合が多い。
すごく役に立つ夫は、イクメンと呼ばれるらしい。
母親が普段している育児をしただけなのに、褒めてもらえるらしい。
世の中の過大評価も甚だしい。
母親に無料のベビーシッターを与えろ。
それ以外に昼間の仕事もある。
とにかく忙しい。
休憩時間はうまくやればある。
子供が小さいときは、ない。
それどころか、眠る時間を確保するのも一苦労。
赤ちゃんの頃は、夜中も3時間おきに授乳。
泣いたら、授乳かおむつか暑いか寒いか病気か機嫌が悪いか。
瞬時に要求に答えないと、泣き止まない。
即断即決の繰り返しと気を張ったままで過ごす毎日。
授乳は毎日献血をしているのと同じ事。
食べても食べてもやせていく。
ミルクの人は、ミルク作りに時間がかかる。
容器も消毒が必要だったり、ちょうどいい温度にしないと赤ちゃんは火傷する。
お風呂は子供が優先。
子供が小さい頃は、お風呂で洗って体をふいて、服を着せるまでを終わらせる。
夫がいれば交代してもらえるが、これも仕事でいなかったりすれば交代要員なし。
母親のお風呂はカラスの行水。
シャンプーなんて適当だ。泡を立てるのすら面倒だ。
ゆっくりするなんて言葉とは程遠い。
ゆっくり食事をすることも無理だ。
トイレに行くタイミングも逃すことが多い。
膀胱炎になるママ友が多いのは、気のせいじゃない。
母親は熱を出しても、子どもの世話をしなければならない。
そして、子どもの風邪は100%伝染る。
母親は睡眠不足、栄養不足で、免疫力が落ちているから。
産後の体調不良は、ストレスも重なり、産後うつにもなる。
産後うつの人は自分では気づかない。
自分の体調不良ぐらいでは、休めないし、病院にも行く暇がないからだ。
なにが理由かわからず、睡眠不足でひたすら辛いしかなかった。
私は過去を振り返って、産後うつだったのかなと思う。
子供が小さい頃は、注射のスケジュール調整も大変だ。
感染症対策なんだろうけど、とにかく注射が多い。
毎月なにかしらの注射があって、病院に行く。
それ以外にも怪我や発熱など、赤ちゃんのうちは病院に行くことばかり。
それも夫という交代要員がいればいいが、機能しない場合も多い。
母親は病院係ではない。
いろいろ書いたけど、大げさではない。
子育ては大変だ。
どんな仕事よりも大変だ。
そんな大変な子育てを家事と仕事とすべて両立している母親は、誰にも負けない。
負けるはずがない。
どんな会社の社長であろうと、どんな戦士であろうと。
母親は強いんだ。
強いけど、あれもこれもと奴隷のように働かされるのはごめんだ。
母親にも自由が必要だ。
男女平等というなら、母親と父親の役割分担も平等にすべきだ。
日本とアジアの女性は働きすぎ。
奴隷の位置にいるのに気づいていない。
私のように離婚して夫がいない場合でも、夫の代わりになるサービスをもっと行政や社会が作るべきだ。
私の子どもが結婚したときに、同じことで悩んでほしくない。
子どもの未来のために。