誰がいい人で、誰がわるい人なのか?
すべていい所しかない人なんていない。
すべてがわるい人なんていない。
私もいい人の時とわるい人の時がある。
日によって時間によって、
その時に起こった出来事によって、常に変わる。
離婚前、悩みに悩んでいた時は、元夫の悪口を言い続けた。
今から13年前、
母に愚痴という名の罵詈雑言を言い続け、あきれられた。
「言いすぎだよ」
と言われて、ようやく気づいた。
私は悪魔のような人間になりつつある。
口から出るのは悪口、罵詈雑言。
夫への不平不満、憎悪を撒き散らしている。
言ってる私も、実はいい気分ではない。
ただ、このような状態になってしまったのは元夫のせいだ、私は悪くない。
そう、
「あなたは悪くない」
と言ってほしくて、その言葉を聞きたくて、
延々と悪口を続けていた。
「あなたは悪くない」
とは言ってもらえなかった。
「言いすぎだよ」
と返ってくるとは思わなかった。
元夫はアル中でお金も入れてもらえない時もあって、
そんなときに妊娠が分かり、子どもができたのはうれしいんだけど、
先の生活は不安しかなくて、離婚が何度も頭をよぎった。
この先、結婚生活を続けてもうまくいく自信がなくて、
実家は遠いし、一人で子育てする自信もなくて、宙ぶらりんで妊娠生活はモヤモヤしかなかった。
すでに私がこわれそうで、本当の話を母にしていたら、出てきたのは悪口だけだった。
悪口を言ってると、次から次へと罵詈雑言が思いつくんだから、困る。
止められないものを止めてくれた母には感謝している。
でも、同時に、まだ言いたかったのになあと思った。
こっちは泣きながら話しているというのに、なんで途中で止めるんだろう。
じゃあ、私はどうしたらいいの?と。
悪口をストップされて、私のモヤモヤはつのるばかり。
「もう離婚しろ」
悪口が止まらなかった私を見て、母はそう言った。
今思うと、ここで離婚しておけばよかった。
でも、なぜか「離婚しろ」と言われると、
離婚するわけにはいかないと思ってしまい、
しばらくは結婚生活を続けることにしたんだった。
この決断はちょっと後悔している。
その後の生活は、出産して子どもがひたすらかわいいから楽しいことも少しはあった。
子育ては、子どもの笑顔で辛いことも帳消しにできる。
でも、それ以外は、思い出すと辛かったことが多い。
元夫の泥酔による事件がたくさんあって、その後始末とかいろいろなことが、
その嫌な事件がトラウマだから。
本当は友達に相談もしてみたかった。
でも、私が相談できる友達は、元夫の友達でもあり、恥ずかしくて言えなかった。
夫がアル中で、お金を入れてくれないなんて、恥ずかしくて言えない。
幸せな結婚生活を送っていると思われたかった。
そんな見栄なんて張らなくていいのに。
そんな見栄なのか。
それもあるけど、いや、違うな。
本当は昔、結婚前に友達に元夫ではなく、
当時つきあっていた彼氏のことを相談した時に、がっかりしたからだ。
私は私の味方になってもらいたくて相談したんだけど、
当時の彼のことも知っていたその友達は、彼の味方だった。
とてもショックだった。
私はその彼と別れ話をした時に、危険な目にあった。
彼は、本気ではなかったと思う。思いたい。
でもこちらは本当に死ぬかと思った。
とてもいい人だったけど、私が別れ話をしたら豹変し、そうなった。
とても怖かった。
当時、同棲していた。
彼は結婚を前提につきあっていた。
私は悩んだけど、旅行に行った時にトラブルがあり、その時に違うと思ってしまった。
そういう事ってあると思う。
だから別れた。
こわい目にあって、別れ話のもつれというのを体験した。
私が外出している間に家を出ていってもらった。
元々私の家に転がり込んできた人なので、家具などはないから簡単に終わった。
その後から、郵便物が届かないことが多くなった。
家の電話に雑音が入るようになった。
アパートのドア前になにかを撒き散らされた形跡があった。
異臭がした。
ぱっと見はなにもないけど、ものすごく臭かった。
こんな所で犬とか動物がするわけはない。
アパートの2階で、階段もあって、通りすがりの酔っ払いがするわけはない。
友達にその話をした。
味方になってもらいたくて。
はじめは驚いた様子で聞いてくれて、
「大丈夫?」とは言ってもらえた。
だけど、その子は彼の味方だった。
話が一通り終わった後に言われたことは、
「あんないい人がそんなことするはずがない、勘違いじゃないの?」
まるで私が嘘つきのように言われてしまった。
ああ、私の味方じゃなかった。
なんでそんなことを言うんだろう。
その友達は、普段優しくて、キラキラ輝く誰もが友達になりたい子。
性格がよくて、初めて会った子が誕生日だと知ると、誕生日プレゼントを買ってくるような子。
そんな優しい子で、私の自慢の友達だった。
それなのに、なんでこういう時に限って、そんなことを言うんだろう。
なんだか裏切られたような気分になった。
私の話を信じてもらえなかった。
悲しかった。
人は見かけによらない。
その友達とは距離を置くようになり、連絡はしなくなった。
実は、元夫の泥酔事件だけ、別の友達にも相談したことがある。
オブラートに包み、相談した。
ひどい事件は、さすがに言えない。
その時もおんなじ事を言われた。
「あんないい人なのに、本当?」
私はどうやら、元彼、元夫と両方とも、見た目とってもいい人を選んでしまうらしい。
いい人とは、顔がかっこいいとかそういう事じゃなく、
みんながそう思う、あの人って本当にいい人だよね、
という性格のいい人のことだ。
私を含め、みんなそのいい人に騙されていて、本性は知らない。
だから、私が本当の事を話しても、信じてくれない。
私の性格が悪いのか、普段の行いがそんなに悪いんだろうか。
信号無視とかして横断歩道渡ってるけど、みんなしてるじゃないか。
それとも前世でよっぽどわるい事をしたから、こんな目にあうんだろうか。
分からない。
とにかく、私よりも、いい人を演じているわるい人を信じている。
本当はわるい人なのに、私は被害にあっているのに、誰も信じてくれない。
私の見た目はそんなに悪役キャラでもないのに、なぜか信じてくれない。
唯一信じてくれるのは、やはり血の繋がった家族だけなのか。
両親は私のことを信じてくれる。
いい人のふりをしていた元夫の本性を父は前から分かっていたようで、
今思い出すと、結婚前にも
「アイツで大丈夫か?」
と何回か聞かれたんだった。
それにおばあちゃんにも
「お酒を飲む人とは結婚してはいけない」
と言われたんだった。
おばあちゃんは、おじいちゃんがお酒飲むのが嫌いだったから。
話は聞いてないけど、つらい目にあったんだろうと、今なら分かる。
もしかして、私と同じ目にあったのかもしれないなあ。
もうこの世にはいないから聞けない。
私は結婚に浮かれていて、そんな助言もスルーしてしまった。
いや、反発してしまった。
母ももちろん、結婚は心配していた。
みんな正しいことを言うんだけど、
私はここでもつい反発してしまう。
みんな悩んだら、友達や家族に相談すると思う。
私もそうしていた。
でも、いろいろあって、友達にも家族にも言えなくなってしまった。
家族は、正しいことをアドバイスしてくれるんだけど、つい私が反発して失敗してしまう。
友達は、私よりもわるい人を信じる。
どちらにも言えないなと。
結婚当初は、なにかあれば夫に相談していた。
夫でもあり、親友でもあると思っていたから。
夫はお酒を飲まなければとてもいい人だったけど、お酒を飲むと別人だった。
それに、シラフであっても、とても差別をする人だということも分かってしまった。
はじめはなんでも応援してくれたし、相談にものってくれたが次第に変わっていった。
家事は女の仕事で、少しでもミスをすると文句を言うようになった。
洗濯して、襟元の汚れが落ちてないとか、アイロンかけろだの。
今思うと、共働きで子どもはほぼ私が育てているというのに、おかしい。
タクシーの運転手やお店の人にはあたりが強く、なぜか偉そうだ。
常に自分がいい人であり、なおかつ上だと思いたいようで、私が夜自宅で仕事をしていると毎回邪魔された。
投資をやりたいと相談したら否定され、ブログをやってみようかなと言ったらそれも。
とてもバカにされた。くだらないと。
いい人と結婚したと思っていたんだけど、いい人ではなかった。
それに親友でもなかった。
私だけなんだろうか。
いつの間にか、本音とか悩みとか誰にも言えなくなってしまった。
言っても仕方ない。
分かってもらえない。
もう、誰にも言わなくていいんじゃないか。
言っても意味がない。
余計な悩みが増える。
それに、罪はないのに罪悪感を植え付けられることもある。
だから、言わないほうがいいんじゃないか。
誰がいい人か、わるい人か、
せめて、それだけ教えてくれる人がいたらいい。
そんな人はいないんだろうか。
それが家族なのかな。
それなりに、いろんな人と出会ってきたけど、
やっぱり自分にぴったり合う人っていうのがまだ分からない。
そんな人はいないのかもしれない。
女性のことも分からないし、男性のことも分からない。
だから、離婚しちゃったんだし。
見つかっている人はいいなと思う。
48歳にもなって、本当に分からない。